さらに遡れば中田翔(大阪桐蔭→日本ハム)や清原和博(PL学園→西武)など1年夏から結果を残したスラッガーもいるが、超高校級の選手とはいえ、やはり下級生が初めて出場した甲子園で活躍することは簡単ではないのがよく分かるだろう。
今年,の3人について改めて見てみると、佐々木はノーヒットだったものの、真鍋は1回戦、佐倉は2回戦でそれぞれ3安打猛打賞を記録しており、結果としては見事という他ない。特に3人の中でも安定感が際立っていたのが真鍋だ。佐々木のタイミングをとる大きな動きや、佐倉の重心をかなり下げた構えのようなバッティングに関する“癖”がなく、シンプルな動きで静かにタイミングをとってボールを呼び込めるのが最大の長所である。そのため、どのコースにもスムーズにバットが出て、パワーだけでなく対応力も高い。1回戦では敦賀気比の上加世田頼希の厳しい内角攻めにも全く崩されず、2回戦でも技巧派サウスポーの香西一希に最初の打席こそタイミングを外されて三振に倒れたが、続く打席ではしっかりと四球を選び出塁し、最後には左中間へ弾き返すヒットも放っている。今大会は少し打球が上がっていなかったため長打は出なかったが、甘いボールが来ればいつでも外野の頭を越えそうな雰囲気は十分だった。
佐倉も1回戦から2回戦にかけて上手く修正してきたように見えた。2回戦で対戦した広陵の森山陽一朗と岡山勇斗はいずれもストレートの最速が140キロを超える本格派右腕だったが(2番手の松林幸紀とは対戦なし)、その速いボールに対応するために1回戦よりも振り出しがコンパクトになっているように見えた。その結果、ストレートをとらえたのは最初のヒットだけだったが、変化球も長く見られるようになり、きれいに三方向へ打ち分けて3本のヒットをマーク。巨漢とは似つかわしくない器用さも見せた。打球の速さも申し分なく、準々決勝以降では長打、ホームランも期待できそうだ。