実は、21年4月16日に開かれた菅・バイデン会談の1週間ほど前に、僕は菅と会っていた。だから、会談がどうなるかっていうことは大体、予想がついた。
会談の中身は細かく公開されていないけれども、伝え聞いたことをもとに、僕が勝手に推測すると、次のようなやりとりだったのではないか。
米国は、中国が数年後、台湾へ武力攻撃をすると見ている。そこで、バイデンは、もしも中国が台湾に武力攻撃をしたら米国は台湾を守るため中国と戦う、と菅に伝えた。そして、その時に日本はどうするのか、と聞いた。
これに対して菅は、日米同盟のもと台湾有事は日本有事だとし、当然、日本も戦わなければならないと説明。しかし、そういう事態を生じさせないためにどうすればいいか、これを考えなければいけない、と強調した。バイデンは、まさにそのことが肝心だと理解を示した──。
実は、バイデンは中国と戦いたくない。アフガニスタンからの撤退などはまさにそうした思いがにじみ出ている。つまり、バイデンは有事を生じさせないことを日本に期待しているのだろう。
(構成/週刊朝日編集部)
※週刊朝日 2022年4月8日号