■中国人が下半身スキャンダルを嫌うワケ
台湾の「芸能界四天王」の一人で、中国でも多くの映画やドラマ、ツアー活動を行ってきた歌手で俳優の王力宏(ワン・リーホン)の一件も記憶に新しい。昨年12月に妻が突如、夫である王の不倫やDVについてSNSで告白したのだ。人気絶頂だった王はこの暴露によって活動休止を発表。さらに中国国営テレビ・CCTVは、当時放映していた連続ドラマのエンディング曲を差し替え、中国の映画・音楽配信サイトも彼の作品を削除するなど、封殺対象になった。このときも、中国SNS上では「失徳(道徳意識の欠如)を犯した人間はどんな立場の者であろうと絶対にテレビに出てはいけない」など厳しいコメントが寄せられた。
ジャーナリストの周来友氏は中国の芸能規制に関してこう述べる。
「昨年、中国では脱税や下半身スキャンダルで多くの芸能人が活動停止を余儀なくされましたが、これは大衆の憂さを晴らす中国政府によるガス抜きになっています。下半身スキャンダルに関して言うと、とくに大物の男性有名人は袋だたきにされる傾向にあります。女子テニス選手の彭帥(ホウ・スイ)さんが中国元副首相との不倫を暴露し、その後中国政府が必死に隠蔽しようとしたのも、民衆による怒りが政権に向くのを恐れたからでしょう。芸能人は今、愛国心を表明したり、寄付やボランティアを積極的に行うなど相当気をつけて活動しています。中国芸能界では異性関係も含め、品行方正な人物であることが絶対条件。海老蔵さんも例外ではありません。ほとぼりが冷めるまで中国での活動は厳しいかと思われます」
一連の芸能規制で、若者の間でも芸能人への見る目が厳しくなっており、中国SNS上ではちょっとした不祥事でも“許すまじ”という論調になっていると周氏は言う。海老蔵に対する非難の声もしばらく続きそうだ。(山重慶子)