記者会見する籠池泰典被告(右)と妻の諄子被告
記者会見する籠池泰典被告(右)と妻の諄子被告

 記者会見でも怒りはおさまらず、

「安倍元首相の関係は何もなく、籠池の2人だけが悪いとして、森友学園事件のすべてを消し去るような判決だ。2人とも実刑判決というのは死ぬよりつらい」

「司法の適切な判断がされていない。検察は、森友学園などから押収した121箱の証拠にこちらが有利なものがあるのに隠している」

 と強い口調で批判した。

 泰典被告によれば、一審判決後も検察側が押収した証拠が開示されず、控訴審判決の直前にようやく見ることができたのが、121箱だという。

諄子被告は、一審の有罪判決の有力な証拠となった録音データに触れ、

「録音データには、私が『(補助金の請求について)ぼったくって』と言っていたとの内容が入っていたと。それを専門家に解析してもらうと、録音データが改ざんされているという結果でした。控訴審でも、録音データは証拠採用したので無罪だと確信していた。それが判決では、そこにはまったく触れていない。安倍元首相、昭恵夫人との関係についても判決はほとんど語ることはなかった。こんなひどいことはない」と訴えた。

 一方で2人の控訴審の実刑判決を聞いた、安倍元首相が会長を務める安倍派の国会議員は、

「一審以上に重い判決になったのは当然だ。安倍元首相はどうしても森友学園事件のイメージがつきまとい、今もすごく気にしている。安倍元首相の周辺で森友学園事件の話はご法度。今回の判決で、ホッとしているのではないか」と話した。

 上告した2人は、最高裁で争う構えだ。

(AERAdot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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