数年前に、ある医科大学の入試で女子学生の点数を一律に減らしたことが問題となった。
そこで、医科大学の幹部にその理由を問うと、全国的に病院が女性医師を採用するのを嫌がっているという。なぜか、と問うと、女性医師は子どもを出産すると辞職することが多く、辞職しない場合でも子育てに多くのエネルギーを費やさざるを得ず、男性に比べて仕事に割くエネルギーが少なくなるからだと説明した。
実は、多くの企業の経営者たちもこれと同様の説明をした。先の理由から、上級管理職や役員などには就任させられないのだという。
また、選挙運動の過酷さを訴えた議員もいた。男性議員の場合、議員が東京で活動しているとき、妻が地元で選挙運動をやってくれていることが多い。だが、女性議員の場合は、夫が地元で選挙運動をしてくれるケースは極めて少なく、両方を自分でやらねばならない、というのである。
だが、何としてもジェンダーギャップを大きく改革して、多くの女性議員に活動してほしい。
世界の例を見ると、サッチャーの英国、メルケルのドイツ、そして台湾など、女性がトップになることで国を変えることができると実証されているのだ。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2022年4月29日号