AERA 2022年4月25日号より
AERA 2022年4月25日号より

 このとき解かれたのは、部屋の封鎖のみ。感染対策のための地域の規制は終わっておらず、引き続きマンションの敷地からは出られなかった。

 マンションを離れることが許されたのは4月13日になってからだ。瀋陽市内ではこの日、居住区の封鎖や厳しい行動制限が大幅に緩和された。それでも、48時間以内のPCR検査の陰性証明がないと建物に入れないなど、制約は続いている。

 部屋を出られない日々に、よく窓の外を見た。道路に車や人影はほとんどなく、ゴーストタウンのように静かな街。青や黄色のユニホームを着た出前の配達員が、バイクで走る姿がたまに目に入るぐらいだった。

 街を歩けるようになって、まずPCR検査の会場に向かった。快晴のもと、人や車は通常より数が少ないとはいえ、街が息を吹き返していた。

 ただ歩いているだけで楽しい。強い日差しを浴びるのが心地よく、検査のため屋外で行列するのも苦にならなかった。(朝日新聞瀋陽支局長・金順姫)

AERA 2022年4月25日号より抜粋