いま必要なのは、一にも二にも話し合いです。にもかかわらず、バイデン米大統領は4月12日、ロシア軍の侵攻は「ジェノサイド(集団殺害)」にあたると発言しました。これまでの「戦争犯罪」より強い言葉です。もちろん、ロシア軍による侵攻は、絶対に認められないことです。けれど、これは「挑発する発言」ではないですか。この発言に何ら応酬しないプーチン大統領のほうが冷静で賢明だと感じます。
G7(主要7カ国)が話し合いを強く呼びかけるべきだと考えています。そこに、トルコ、イスラエル、中国など関係国も加え、停戦に向けての環境整備をすることです。これ以上、双方から犠牲者を出さないためにも、国際社会が一丸となり、非難や批判ばかりの「入り口」の議論をやめ、「出口」の議論をするのです。
日本はウクライナに対して、政府開発援助(ODA)で3100億円を出している「モノ言える国」です。岸田文雄首相はバイデン米大統領に3回電話していますが、それならば、プーチン大統領にも3回電話すべきではないですか。日米同盟は非常に大切なものですが、日本には北方領土問題など、ロシアとは解決すべき国益に関する問題があります。このことも考えなくてはなりません。停戦のために日本は積極的に立ち上がることが重要です。
(編集部・古田真梨子)
※AERA 2022年5月2-9日合併号