2021年までの絶好調相場から一転、米国株は2022年に入り軟調といっていい。そもそも株式市場には暴落が付きものだ。アエラ増刊「AERA Money 2022夏号」では、過去30年の実績から見て「どれくらい下がる可能性があるのか」を検証している。
株価の暴落といえば数年に1回はあるもの。だが暴落が止まらなかったことは一度もない。投資ビギナーはまず、過去の暴落でどのくらい下がったか、どのくらいで回復したかを知っておこう。
取材をお願いしたのは、セゾン投信代表取締役会長CEOの中野晴啓さん。セゾン投信は「セゾン資産形成の達人ファンド」をはじめとする投資信託(以下、投信)の運用会社だ。同社の運用する3本の投信の資産総額は2022年3月に5000億円を突破した。
今回は米国株の代表的な株価指数「S&P500」と、世界中の株式に投資する「全世界株式」の値動きを捉えた指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」を教材とした。
それぞれの過去30年の暴落局面を調べてみると、ワースト3は次の通り。3位がやや予想外の結果だった。
1位 リーマン・ショック
2位 ITバブル崩壊
3位 コロナ・ショック
最も下落率の大きいリーマン・ショックのとき、「全世界株式」は1年4カ月にわたって56.2%も下落。暴落前の高値を回復するのに6年8カ月かかっている。
リーマン・ショックの震源地となった米国のS&P500は、1年4カ月かけて52.6%下落、戻るまでに5年5カ月かかった。
「30年以上、資産運用の世界で生きてきた私にとってもリーマン・ショックは過去最大の暴落でした。資産運用の歴史の中では下落率50%超、すなわち投資金額が半値になるような暴落がたまにある、と考えておきましょう」(中野さん)
下落しはじめてから回復までの期間で見ると、S&P500が2000年のITバブル崩壊以降、6年9カ月かかっているのが最長だ。