
高校の家庭科で「資産形成」の授業が4月から始まった。高校生の時からお金や投資の知識を身につける目的の授業だが、どのような内容なのだろうか。3月に先行して開かれた講義を振り返る。AERA 2022年5月23日号の記事から。
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4月から成人年齢が18歳に引き下げられ、この年齢になれば保護者の同意を得ることなく、金融取引の契約を結ぶことが可能となった。こうした変化に対応するため、今年度から高校の家庭科で資産形成の授業が始まった。マネックス証券は3月22日、二松学舎大学附属高校(東京・九段)の新3年生(約250人)に、一足早く投資講座を開いた。「一生使える! お金・投資入門」と題した講座で、同社でマーケット・アナリストを務める益嶋裕さんが講師を務めた。
「お金や投資は、自分の世界を広げるための手段の一つ。お金や投資について正しい知識を身につけると選択肢が増え、人生がより豊かになるかもしれません」とあいさつ。親からもらった小遣いを持ってコンビニに行き、パンを買うという身近な例を挙げて、経済の仕組みを説明した。
特に興味深かったのは、二者択一のクイズ形式による生徒たちへの問いかけだ。
「インフレとデフレのどちらがいい?」と尋ねたところ、前者と答えた生徒が圧倒的に多かった。デフレ下で生まれ育ってきた彼らも、報道や大人たちの会話などを耳にしながら、負の連鎖で経済活動が収縮することの閉塞(へいそく)感に嫌気をさしていたのかも?
もちろん、インフレも過度に進むと悪影響が大きくなる。益嶋さんは、デフレとインフレの仕組みについて説明したうえで、「物価上昇率2%程度のマイルドなインフレが理想的」と説いた。
金融や経済について若い頃から理解しておくことは、波乱続きの現代を生き抜くうえで重要だと痛感させられた。(金融ジャーナリスト・大西洋平)
※AERA 2022年5月23日号