話は純烈に戻ります。現在、新メンバーへ自薦の声を上げているのは、私の知る限り野々村真さん、楽しんご、さらには名古屋CBCの永岡歩アナウンサー。純烈側が掲げる理想の新メンバー像は、「身長175cm~2m」「歌って踊れる」「安い飯をおいしく頂けるような人」だそうですが、熱心なファンの心理は別にして、「誰が加入しても面白そう」と思わせてしまえるのが純烈の凄いところです。何ならポール・マッカートニーや大林素子が入っても「純烈らしさ」は変わらないでしょう。
裏を返せばそれぐらい世間は純烈に対し寛大だということ。いや、適当と言ってもいいかもしれません。かつてこんなにも適当に扱われた国民的グループがいたでしょうか? 客商売・人気商売というのは「思い入れ」を扇動するのも大切ですが、一方で日常の中にある無意識な概念として存在した者が究極「勝ち」という見方もできます。
純烈はその境地に達している数少ないグループです。内輪で偉そうなことばかり宣って、悦に入っている人気ユーチューバーなんかよりよっぽど奇想天外で面白い。
ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する
※週刊朝日 2022年7月1日号