花粉症の症状は、花粉の飛散量が多い晴天の日中ほどひどくなるというイメージがありますが、実際には日が落ちた夜間に症状が現れることもあります。夜に花粉症の症状がひどくなると睡眠に支障を来す可能性がありますので、夜間の花粉症に悩まされている方は、何らかの対策を講じることを検討しましょう。
今回は、花粉症が夜にも現れる原因や、花粉症のシーズンに気持ちよく寝るためのポイントについて解説します。
花粉症が夜にも現れる原因とは
花粉症が夜にも現れるのは、大きく分けて4つの理由があるといわれています。
■1. 花粉は夜間にも飛んでいる
花粉の飛散量がピークに達するのは日中ですが、実は日が落ちた夜間にも少量ながら花粉が飛んでいることがデータで確認されています。[注1]
日中に比べると飛散量は半分以下に留まりますが、飛散量がゼロになるわけではありませんので、夜間でも花粉症の症状が出る可能性があります。
[注1]環境省:花粉症環境保健マニュアル2019[pdf]
■2. 部屋に持ち込んだ花粉の影響
帰宅時に外から花粉を持ち込んでしまうと、室内に花粉が滞留し、夜間でも花粉症の症状が起こることがあります。花粉は衣類だけでなく、肌や髪の毛などさまざまなものに付着しますので、「窓を閉め切っているのに花粉の症状がひどくなる」という場合は、知らない間に外から花粉を持ち込んでいる可能性があります。
■3. 花粉症の薬の効果が切れる
花粉症がひどい方の多くは、朝にアレルギー薬を服用してから外出しますが、時間が経つとだんだん薬の効果が切れてきてしまいます。そのため、アレルギー薬の多くは1日2~3回の服用を推奨していますが、うっかり飲み忘れてしまうと、朝飲んだ薬の効果が切れる夕方~夜以降に、再び症状に悩まされる可能性があります。
■4. 免疫細胞の影響
夜間や麻に花粉症などのアレルギー症状がひどくなる理由について、山梨大医学部の研究チームは、免疫細胞「マスト細胞」内の遺伝子が夜間から朝方にかけて活発になることが影響しているという説を発表しました。[注2]
マスト細胞はアレルギー原因物質に反応する度合いを自ら調節するはたらきがあり、マスト細胞内の遺伝子が活発になるとアレルギー反応が強く出やすいとしています。
[注2]日本経済新聞:アレルギー症状、夜にひどくなる理由解明 山梨大
夜に窓を開けたままにして寝るのが良くない理由
2月中は朝晩の気温が低くなりやすいので、窓をしっかり閉めたまま寝ている方が多いと思いますが、地域によっては3月になると夜でも冷えに悩まされずに済む日が出てきます。汗っかきの方や、夜間に洗濯物を部屋干しする方は、窓を開けて就寝することもあるかもしれませんが、前節でも説明した通り、花粉は夜間でも飛散していますので、窓を開けて寝てしまうと花粉症がひどくなる可能性があります。寝る前に少々換気するくらいなら問題ありませんが、窓を開けっ放しにしたまま寝るのは控えた方がよいでしょう。
花粉症状を軽くして、気持ちよく寝るためのポイント
花粉症の症状が現れると、目のかゆみや鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの諸症状が起こるため、夜になかなか寝付けず、不眠や寝不足になってしまう可能性があります。場合によっては日常生活に支障を来す原因となりますので、花粉症状が気になる方は、気持ちよく寝るために以下のような工夫を採り入れてみましょう。
■1. 寝具の花粉を除去する
花粉のシーズンに布団やシーツ、枕カバーなどを外干しすると、花粉が付着し、夜間の花粉症状が悪化しやすくなります。シーツや枕カバーは部屋干しするか、あるいは室内に取り込むときに屋外で花粉を払うなどして、なるべく屋内に花粉を持ち込まないよう注意しましょう。布団用のクリーナーや布団乾燥機などを利用し、花粉シーズンは布団の外干しを避けるのも有効な対策のひとつです。
■2. 室内をこまめに清掃・換気する
一度室内に入り込んだ花粉は床やファブリックなどに付着し、歩いたり座ったりするたびに空気中に飛散します。窓を閉め切っていると、室内にたまった花粉が屋外に排出されにくくなりますので、部屋はこまめな掃除を心がけ、花粉の残留を最小限に抑えましょう。換気も有効な手段ではありますが、花粉の最盛期に、3LDKのマンションの窓を全開にして1時間換気したところ、およそ1,000万個の花粉が屋内に流入したというデータもあります。[注1]
換気で窓を開けるときは幅10cm以下に留めた上で、レースのカーテンを引くなどして、外からの花粉をなるべくシャットアウトすることを心がけましょう。
■3. 寝る前にハーブティーやホットミルクを飲む
就寝前に温かい飲み物を飲むと、粘膜の血流が良くなり、鼻づまりの症状を緩和する効果が期待できます。ハーブティーやホットミルクには、眠りを妨げるカフェインが含まれていませんので、就寝前でも安心して飲用できます。
夜間の花粉症状は、日常生活や就寝前の工夫でしっかり対策しよう
花粉は夜間でも飛散していますし、日中に外から持ち込んだ花粉が寝室に滞留していると、夜でも花粉症状が現れる場合があります。夜間の花粉症状は不眠や睡眠不足を引き起こす要因にもなりますので、寝具の花粉を除去する、寝る前に暖かい飲み物を飲むなどの工夫を採り入れて、症状の軽減を図りましょう。また、花粉の飛散量が多い日は窓を開けっ放しにして寝ることのないよう注意が必要です。
天気予報専門メディア「tenki.jp」では、エリアごとの花粉飛散情報をWeb上で公開していますので、毎日の花粉対策にぜひご活用ください。