せりゅう・もにか/1997年、東京都生まれ。筑波大学体育専門学群4年。中学2年でカヌー開始。高校1年時に体育の授業で倒立前転に失敗し大けが。体幹機能障害が残り車いす生活になるも、パラカヌー転向から2年足らずでリオ五輪に日本人でただひとり出場し8位入賞。江東区カヌー協会所属。障害を負う前にカヌー経験がある唯一の日本選手(写真/写真部・松永卓也)
せりゅう・もにか/1997年、東京都生まれ。筑波大学体育専門学群4年。中学2年でカヌー開始。高校1年時に体育の授業で倒立前転に失敗し大けが。体幹機能障害が残り車いす生活になるも、パラカヌー転向から2年足らずでリオ五輪に日本人でただひとり出場し8位入賞。江東区カヌー協会所属。障害を負う前にカヌー経験がある唯一の日本選手(写真/写真部・松永卓也)
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瀬立モニカ(写真/写真部・松永卓也)
瀬立モニカ(写真/写真部・松永卓也)

 東京パラリンピックは9月2日、カヌーの女子カヤック・シングル(KL1)があり、瀬立モニカ(23)が出場する。AERA2019年4月29日-5月6日合併号のインタビューを紹介する(肩書、年齢は当時)。

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 上腕と肩甲骨まわりの筋肉を駆使してぐんぐん進む。瀬立モニカは、パラカヌーのクラス分けで最も障害の重い「KL1」。だが、胸から下が動かせないとは想像できない。

 昨年5月のW杯は8位ながら、優勝者とのタイム差は3秒に迫った。一昨年の世界選手権では7秒あった。

「外国人選手に比べると情けないくらい細かった。筋力をつけるためにいろいろやりました」

 1日8食、朝は毎日お雑煮。もち米にはたんぱく質も含まれ栄養価が高いためだ。腕用のトレーニング器具などで鍛え、体重はリオから12キロ増。胸から上だけの変化なのに筋量は4キロ増えた。

「大学で栄養学の授業を受けた後に先生に相談したり、トレーニング器具も学部長やほかの先生に説明しました」

 体脂肪率は直立しなくては測れないため、車いすの瀬立らはいつも一律「5%」とデータ表に書かれていた。

「正確な数字がわからなくて」と教授に相談すると、横になったままでも計測できる体組成計を探して導入してもらえた。

 出てきた数字は30%。一般女性の「やや肥満」に当たる。胸から下が鍛えられないとはいえ「大ショック。トレーニング頑張らなきゃと思いました」。

 肉体改造のモチベーションになった。

 西明美コーチ(50)はこう唸る。

「彼女の凄みは探究心。どうすればタイムが上がるかを懸命に分析し実践する」

 3秒差はほぼ2艇身、10メートル強。頭を使って追いかける。

(ライター・島沢優子)

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■パラカヌー

 リオからパラリンピック正式競技に。1レース8艇で200メートルの直線コースでの着順を競う。下肢の障害が重いほうから、胴体を動かすことが困難なため肩と腕の機能だけで漕ぐL1クラス、踏ん張ることが困難なL2、そして踏ん張りのきくL3と三つのクラスに分けられる。リオで実施したカヤックに東京からヴァー種目が加わる。

※AERA2019年4月29日-5月6日合併号に掲載