2021年は月食を2回見ることができる、月食の当たり年です。なかでも、来週26日に控えるのはスーパームーンでの皆既月食!一年でいちばん大きな月が、美しい赤銅色に染まります。日本で皆既月食が見られるのは2018年7月以来、約3年ぶりのこと。日本の広い範囲で、月食の過程の大部分が観測可能です。
今回は、月食がおこる仕組みと月が赤い色に変わる理由ついてご紹介します。
スーパームーンで皆既月食!次回は12年後
一年の間に見える満月のうち、最も大きく見える満月のことを「スーパームーン」と呼ぶことがあります。今回の月食は、月面の全体に地球の影が落ちる「皆既月食」。そのため、スーパームーンと皆既月食のタイミングが重なる珍しい機会となります。
まず、18時45分に満月が地球の影に入って月が欠けはじめ、部分食が起こります。この時点では、北海道西部、東北地方西部、中部地方西部、西日本ではまだ月が出ておらず、一部が欠けた月が昇ってくることになります。このような状態を「月出帯食(げっしゅつたいしょく)」と呼びます。その他の地域でも、ごく低い位置での現象になるため、見晴らしの良い場所から観測したいですね。
その後、月が高く登るにつれて地球の影に覆われ、暗い部分が広がっていきます。部分食の開始から約1時間30分後の20時11分、月全体が地球の影に入り皆既食になります。皆既食の状態は20時26分までのわずか15分ほど。赤みを帯びた神秘的な満月が見られるのは、ごく短い時間となります。皆既食が終了すると、月は次第に明るさを増していき、約1時間30分後の21時52分には部分食も終了し、明るい満月が南東の空に輝きます。
次回、スーパームーンで皆既月食となるのは、12年後の2033年10月8日です。
月食とはどんな現象?
地球や月は、太陽からの光を反射することで輝いて見えます。物や人に太陽の光が当たると影ができるように、地球も太陽に照らされると影ができます。太陽と反対側に伸びた地球の影のなかに月が入ると、地上からは月が欠けたように見えます。これが月食と呼ばれる現象です。
月食は、太陽、地球、月が一直線に並んだ満月の時に見ることができます。しかし、満月のときに月食が必ずおこるわけではありません。月の軌道面と地球の公転軌道面は5度ほど傾いています。そのため、通常は影が北か南にずれており、地球の影から外れた場所で満月になることが多くなるのです。
地球の影の大きさ(見かけの直径)は、月の約3個分です。この影のなかに月が全部入ってしまう時に「皆既月食」が起こります。月が地球の影の中心に近いところを通る場合は、それだけ皆既状態が長く続くことになります。今回は、影の端のほうを通過するため15分ほどで終了します。
なぜ、月が赤く見えるの?
皆既月食の月は、「赤銅色」と表現される不思議な赤い色になります。月が地球の影のなかを通ることを考えると、全く見えないか暗く黒っぽい色になりそうですよね。なぜ、赤みがかった色に見えるのでしょうか。
太陽の光は、赤や青などの波長の異なる様々な光を含んでいます。太陽光が地球の周りを囲む大気を通過するとき、光は大気によって屈折されて月まで届き、かすかに月を照らします。光の成分のなかでも波長の短い青い光は、大気に散乱されてしまいます。一方、波長の長い赤い光は散乱されにくく、月まで届きます。そのため、赤い光に照らされた月面が赤っぽい色に見えるのです。
その日の大気中の塵や水蒸気の量によって、月の色は変化します。より濃い赤色や茶色っぽく見えることもあれば、オレンジ色のように明るく見えることもあり、今回どのような色味になるのかも注目したいですね。
次回、今年2度目の月食は11月19日です。部分月食となりますが、欠けずに残る部分がごくわずかで、ほぼ皆既食に近い月を見ることができます。
・参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2021』 アストロアーツ
・参考サイト
アストロアーツ
国立天文台