厄介なのは、感染防止策を強化すればするほど、体に自然に備わっている菌類やウイルスへの抵抗力が甘やかされて低下し感染しやすくなるというパラドックスだ。対策は各自が免疫力を強化することしかない、と主張する医師も多いが、感染リスクと防止のバランスを考えると実行はなかなかむずかしい。

 東京などでもこの6月に、夏だというのにインフルエンザによる学級閉鎖があった。コロナの感染対策は必要なことであったとはいえ、その反動で様々な感染症の危険も高まっているのかもしれない。たとえ今後「アフターコロナ」になったとしても、他の感染症への注意を怠らないようにすべだ。

 ウイルスや細菌はたとえ見えなくても、そこにあるのだから。

(海外書き人クラブ・柳沢有紀夫<オーストラリア>、八座マモル<イギリス>)

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