軍人は営業マンだった
「そんな戦争の歴史を見ていくと、『この国は戦争を営業品目に使っていた』ことに気づきます。何のために戦うのかを考えることなく、とにかく勝って賠償金と領土を取り、帝国主義国のトップに上り詰め『一等国』になるのだと。軍人はそのための営業マンだったのです」
現状を自国の歴史と重ね合わせる視点が大事だと、保阪さんは言う。例えば、ロシアがウクライナ東部にある親ロシア派支配地域の独立を一方的に認め、「東部の住民保護」を名目に侵攻したことは、満州国を作り、中国と全面戦争に突入した日本と重なりはしないか。
「今、プーチンを批判したときに『お前たちだって同じようなことをやっていたじゃないか』と言われたら、私たちは決してそれを否定できません。歴史を学び、『満州事変は本当にプーチンのやり方と一緒だな』とまず知ること。歴史をかみしめ、咀嚼(そしゃく)してみること。21世紀の歴史の予兆をつかむためにも大事なことだと思います」
(構成/編集部・小長光哲郎)
※AERA 2022年7月11日号より抜粋