ロシア軍が攻撃し、煙が上がるウクライナ東部ルハンスク州の要衝セベロドネツク。6月25日に陥落した
ロシア軍が攻撃し、煙が上がるウクライナ東部ルハンスク州の要衝セベロドネツク。6月25日に陥落した
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 ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、日本の防衛のあり方が注目を集めている。この先どこへ向かうのか。『歴史の予兆を読む』(朝日新書)の共著者・保阪正康さんに聞いた。AERA 2022年7月11日号の記事を紹介する。

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 日本は今後、どうなるのか。今回の侵攻を機に台湾有事など中国の脅威が喧伝(けんでん)され、「核共有」や「憲法9条改正」を訴える政治家もいる。

「ある集まりで『もし日本がウクライナのように侵攻されたら、政府はどう対応すると思うか』と聞かれ、私は三つの選択肢を示しました。一つはアメリカ依存。一つは憲法の、専守防衛の範囲内での抵抗。三つ目は、政府が意図的に八百長でクーデターを起こして現憲法が作る政治的空間を全部止めてしまい、そのうえで『軍』をどうするかなど緊急対応を考えていくという道です」

国民が「よく見ておく」

「三つ目の選択は非現実的と思うかもしれませんが、誰もがあり得ないと思っていたウクライナ戦争が起きた今、考えざるを得ない。そうなったら、侵略してきた相手よりも日本のほうがもっと怖い国になります」

 保阪さんは、「大切なのは国がそんな方向に行かないよう国民が『よく見ておく』こと」だと指摘する。そのために必要なのは「歴史を知ること」だ。

「なぜ歴史を学ぶのか。歴史の中に全ての答えが入っているからです。特に明治から戦前・戦中の近代史77年の中には、『他国への侵略のために、国が国民の生命と財産をいかに博打(ばくち)のように使い、いかにひどいことをやるのか』の答えが全てあります」

「日本は江戸時代の270年間、一度も対外戦争をしませんでした。それが鎖国を解いて近代国家になったら、今度は明治27(1894)年の日清戦争を皮切りに10年おきに戦争をやる国になった。しかも極めて帝国主義的な侵略戦争です。ヨーロッパ諸国が帝国主義的な戦争の段階から脱皮していく中、日本はいわば『最後の帝国主義国』として東南アジアや中国に対応した」

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