新たなニーズを獲得している進化系コインランドリー。そのなかでも、中澤氏が注目している店舗についても聞いた。1つは東京・目黒にある「フレディ レック・ウォッシュサロン・トーキョー」だ。2017年にオープンした同店は、ドイツで人気を博す「フレディ レック・ウォッシュサロン」の日本1号店。店内はレトロな壁紙とシャンデリアなどこだわりの内装を施し、カフェスペースではコーヒーやクッキーなどの軽食が楽しめる。
「カフェだけを利用するユーザーも多く、提供するメニューもアイデア満載です。過去には、洗濯物のイヤなニオイの代表格『ゾンビ臭』をテーマにしたイベントを開催し、ゾンビの手をモチーフにしたシュークリームを提供していました。また同店のロゴをあしらったハンガーや洗濯バサミなどのオリジナルグッズもSNSで『映える』と人気を集めていますね」
コインランドリーの待ち時間が楽しくなる仕掛けが満載の同店。洗濯、乾燥の待ち時間が有意義なものになりそうだ。
「機能性の高さをうたっているのが『フトン巻きのジロー』です。これまで、コインランドリーの布団洗いといえば、掛け布団や毛布を指していました。しかし、フトン巻きのジローでは、“敷布団”をコインランドリーで洗う方法を編み出し、テレビCMなどで大々的にPRしています。敷布団は干すものという概念を覆し、業界に大きな影響を与える存在になると思います」
これら2店は、中澤氏が審査員を務める「コインランドリー店アワード」で最優秀賞を獲得している実力店だという。中澤氏は「コインランドリー市場は今後も伸びる可能性がある」と分析する。狙いは高齢者だ。
「高齢者にとって、洗濯物を干す・取り込むなどの家事は身体的な負担になります。これから、高齢者のニーズに応える店舗が生まれる可能性は大いにありますね」
ユーザーの多様なニーズに応えながら成長するコインランドリー市場。進化系コインランドリーを一度利用すれば、その快適さ、便利さのとりこになってしまうはずだ。
(真田まなみ:清談社)