「だから、僕にそんな思いをくれたソニーという会社は、世界のナンバーワンであってほしいなと思うんです。最初からソニーをナンバーワンにすると決めて入ったんです。『つらかった』っていいましたけど、ホントは大変でもなんでもない。志は決まっているんです」
彼は、ソニーの感動体験の体現者だ。ソニーがもたらす感動の価値を、誰よりも深く知っている。その感動体験をもっと広げたい。テクノロジーを使って、世界に感動を届けたい。だから、必死に働く。
「何があっても、気にしないのは、自分は違う軸でやっているという思いがあるから」
と、柳沢はいう。
柳沢が“鉄人”のごとく、ソニーと一体化して仕事に邁進するのは、ソニーという会社が情熱を傾けるべき対象であり、貢献したいと思わせる存在だからでもある。
「仕事がストレス解消になっている」
と、彼はいいきる。
昭和のモーレツサラリーマンとは違う、令和の仕事人の姿がそこにある。(文中敬称略)(ジャーナリスト・片山修)
>>【前編の記事】ソニーの半導体の躍進を支えた“鉄人”の働きぶり 米国で眠らぬ奮闘「ドブ板」ならぬ“土下座”営業の日々
※AERA 2023年1月16日号より抜粋