世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。
■こんなエロいコーヒー屋があるなんて!
アメリカ・オレゴン州を旅していたときのことだ。以前、そこに駐在していたという知り合いから「ビキニコーヒーに行ってみてください」と言われた。
ビキニとは、その名のとおり水着のビキニである。それとコーヒーの組み合わせ。いったいどういうことなのか。好奇心の赴くままに、カーナビの案内に従って店へ向かうと、街の中に「Hot Bikini Brew」という店があった。看板にはセクシーなお姉さんのシルエットまであるのでここで間違いないだろう。
ドライブスルー専門店のようではあるが、車を近くに駐車してから歩いて店に向かった。私の前には数台の車がいた。そこに徒歩の私が並んだ。
カウンターでお姉さんが「注文は?」と声をかけてくる。見ると本当にビキニ姿だ。
「コーヒーください。ブラックで」
徒歩で並んでいた東洋人にお姉さんは驚いた様子。一瞬の沈黙の後で、女性は大爆笑していた。
この雰囲気を逃すまいと、「友達が、このお店がいいと言っていたので来ました。写真を撮ってもいいですか?」と言うと、軽いノリで「OK」してくれた。写真撮影には厳しいお店らしく、この時はラッキーだった。
■セクシー美女の思いがけない気配り
コーヒーは普通においしかった。私はおなかが弱いので、いつもホットのブラックを頼むことにしている。甘い飲み物が好きじゃないのも理由の一つである。
コーヒー屋には行き慣れているつもりだ。だから渡された紙コップに「あるもの」がないことにすぐ気づいた。テイクアウト用のカップの場合、お店の名前を示すようなものが必ず印刷されているはずだが、それがないのだ。
「昼休みに来て、オフィスにそのまま持ち帰っても大丈夫なようにしているんですよ。オフィスに『Bikini』って入ったカップを持っていったら、行ったことがバレちゃうじゃないですか」
店を教えてくれた知人が、どう考えても実体験としか思えないような語り口で教えてくれた。
思いがけない気配りに感動した。とはいえ、フリーランスなので同僚のいない私には関係ないのだが。(文/丸山ゴンザレス)