イラスト/ウノ・カマキリ
イラスト/ウノ・カマキリ

 中国が台湾に武力行使したら、米国は台湾を守るために中国と戦わざるを得なくなる。そして、当然ながら同盟国の日本に「お前も戦え」と強く求めてくるだろう。日本は断れないが、ひたすら困惑することになる。

 だから私は、習氏が最も信頼していると言われている自民党の幹部に直接会って、こう説いた。

 武力行使が現実に起きれば、米国との戦いになり、第3次世界大戦になりかねない。だから、習氏に会い、台湾に武力行使などすべきではないと説得すべきだ、と。

 すると、自民党幹部は落ち着いた口調で語った。

「習氏があのようなことを言ったのは、言わざるを得ない立場に追い込まれたからだろう。だが、実際に台湾に武力行使などしたら、中国にとって大ダメージになるとわかっているはずだ。習氏はそういう判断力は持っている。だから、ここは静かに見守ってやりたい」

 そうした判断力があるからこそ、習氏はこの自民党幹部を高く信頼しているのであろう。私は改めて納得していた。

 想定外に広がるデモを前にしても習氏「独裁」体制が覆ることは考えづらい。ゼロコロナ政策の転換、台湾との向き合い方に習氏の賢明な判断が求められている。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

週刊朝日  2022年12月23日号

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?