若葉が芽吹く、緑鮮やかな季節となりました。この時期の郊外では、田んぼからカエルの大合唱が響き、生命の息吹を感じます。また、都市部に暮らす人にとって身近な生き物といえば、すずめ、カエルなどがすぐに連想されますが、冬の時期を静かに過ごしときた様々な生物の中には、都市部の公園の池の顔ともいえるカメもいますね。実は、今日5月23日は「世界亀の日」。ということで、今日はカメについてお話をしましょう!

5月23日は「世界亀の日」
5月23日は「世界亀の日」
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「世界亀の日」って何?

5月23日は「世界亀の日(World Turtle Day)」なのだそう。これはアメリカの非営利団体American Tortoise Rescueが、「亀に関心を向け、知識を深め、敬意を払い、亀の生存と繁栄のための人間の行動を奨励する日」として、2000年に制定しました。
身近に生息するカメですが、どんな生き物なのか簡単に説明すると……
爬虫綱カメ目に属する動物の総称で、陸生・水陸両生・水生・海洋生まであり、約260種類が存在します。日本に生息するカメは、クサガメ、ニホンイシガメ、ミシシッピーアカミミガメ、セマルハコガメ、ミナミイシガメ、リュウキュウヤマガメ、二ホンスッポンなどです。

カメは本当に長生きなの?

「鶴は千年、亀は万年」といわれますが、残念ながら1万年は生きられません。1万年生きることはできませんが、カメはとても長生きで、もっとも身近なミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)で40年、クサガメで60年以上です。
記録として残っている長寿のカメは、ガラパゴスゾウガメの“ハリエット”で、175年生きたといわれています。また、現在、存命中のカメでは、アルタブラゾウガメの“ジョナサン”(推定年齢186歳)、セーシェル島に生息する“エスメラルダ”(推定年齢200歳以上)がいます。いずれもアルタブラゾウガメです。
カメがどうして長生きなのか、その理由ははっきりとはわかっていませんが、カメの呼吸や生活スタイルに関係があるようです。
生物は呼吸をし、体に酸素を取り込むことで活動エネルギーを生み出しています。その一方で、使われなかった余分な酸素は、活性酸素となり細胞を劣化させる要因となります。
一説には、呼吸数が多い生き物は、体に取り込む酸素量も多く、活性酸素の発生量も多くなる傾向にあるため老化や病気で寿命が短くなると考えられています。それでいうと、カメは心拍数が少なく呼吸量が少ないため、長生きをするというわけです。
また、カメは外気の変化で体温を変化する変温動物なので、冬など環境条件が悪くなると仮眠状態になって過ごします。これがエネルギー消費を抑えることとなり、長生きにつながると考えられています。

長寿のカメとして有名なガラパゴスゾウガメ
長寿のカメとして有名なガラパゴスゾウガメ

少し話題はそれますが、カメの繁殖にも種を維持するための特徴があります。
それは「遅延受精」といって、メスのカメはオスの精子を生きたまま体内に保存することができるのです。この特殊な能力のため、数年間交尾をしなくても有精卵を産むことができます。
もうひとつカメの不思議な力をあげると、カメの性別は卵の中で過ごした時の温度によって決まります。このことを「温度依存性決定」といいます。ちなみに、28℃以下の場合はオス、28~29℃の場合は、オス・メス半々、30℃以上の場合はメスになります。
── 不思議な魅力を持つカメはペットとしても人気ですが、安易に飼い始め、想像以上に大きくなると川や池に捨ててしまう人も多いようですが、23日は「世界亀の日」。せっかくの機会ですから、カメについて一考してみませんか!
参考HP:環境省
※表記に一部誤りがあったため、公開後に修正しています。

ペットとして人気のミシシッピアカミミガメ
ペットとして人気のミシシッピアカミミガメ