公共哲学こそが現代社会と私たちを繋ぐ知をもたらす。そう説く公共哲学の専門家が現在流行する哲学について解説する。

 例えば、トランプ米国大統領の当選に見られるように政治が感情に支配される中、逆に「感情を飼いならす哲学」を取り入れるべきと説く。あるいは政治的対立を乗り越えるために「積極的な妥協」が肝要であるとも。反知性主義、ポピュリズム、AI、超監視社会、シェアリング・エコノミーなど現代を生きる際に必要な議論が本書で一望される。

 著者は従来の理性主義を乗り越えるために、感情、モノ、テクノロジー、共同性の四つの知が連接して多層的な知を形成する「多項知」の重要性を語る。現代においては、多様な知を手に入れることで、生きる指針を立てることができるだろう。

週刊朝日  2018年6月22日号

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼