「男子、厨房に立たず」が昔の話になった今、チャーハンくらいつくる男性は多いかも。だが、「くらい」といったら罰が当たるだろう。
タイトルからわかるように、新書1冊分丸ごと費やして、チャーハンにしか触れていない。「パラパラのチャーハンをいかにして作るか」。料理好きなら誰もが夢見る、その唯一にして最大の目標に試行錯誤しながら突き進む。
ガスの火力は家庭用でも問題ないのか、鍋はどのような大きさがふさわしいか。自腹を切ってさまざまな器具や食材、調理法を試す姿勢にはいささか狂気すら感じてしまう。
読み進めると、家庭料理の域を超えているのではと心配になるかもしれないが安心してほしい。苦節3年の末に誰もが作れるレシピに行き着く。著者の研究の成果を味わってほしい。
※週刊朝日 2018年6月1日号