〝縁結びの神〟だったランは2人に看取られて亡くなった
〝縁結びの神〟だったランは2人に看取られて亡くなった
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 30年以上に渡り、「週刊朝日」で連載している「犬ばかばかペットばか」が1500回を迎えた。読者の皆さんとペットの愛おしい日常のひとコマをお届けしてきました。あれからどうしてるかな。担当者がちょっと気になっている回の、その後の暮らしぶりを取材。投稿者の「その後」を聞いてみました。

【写真】新しく家族の一員になった2代目ワンコがこちら

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■「ワンニャン婚活」でゴールイン 震災で飼い主失ったランがつなぐ縁

<「ワンニャン婚活」なるものに参加した>という興味深い書き出しで始まったのが1340回(2019年9月20日号)に登場した広瀬智子さん。

「ワンニャン婚活」は犬猫たちの相手探しではなく、飼い主さんたちの婚活だ。女性の参加条件は「動物が好きな人なら誰でも」だったので、軽い気持ちで参加したという。

 会場で一目ぼれした相手は、男性ではなく犬だった。オスの柴犬で名前はラン(年齢不詳)。東日本大震災で飼い主を亡くしたランを引き取ったのが、婚活に参加した男性だった。引き取られた当時、ランは栄養不足で痩せていた。しかし誌面で紹介したころにはすっかり健康を取り戻し、人にも心を許す甘えん坊になっていた。

「原発の放射能を浴びているかもしれないが、一日でも長生きしてほしい」。犬の頭を優しくなでながら、そう語る男性。まるで「親ばかな新米パパのよう」にランに接するこの男性に、広瀬さんは「ビビッ」ときてしまった。

 ランはその後どうしているだろうか? 2人はどうなったのか。

「あれから1年ぐらいして、ランは寿命が来たらしく亡くなってしまいました」と語る高田智子さん。そう! 2人は結婚したのだ。

「主人は犬に対しても人に対しても優しく接する人で、そこが好きで結婚を決めました。ランと3人家族で仲良く暮らし始めたのですが……。亡くなったときは私も主人も、喪失感が大きくて。しばらくは犬を飼うなんてできませんでした」

 少しずつペットロスから立ち直り始めたころ、2人で訪れたペットショップで、たまたま出会ったトイプードルにまたも一目ぼれしてしまった。すぐに2人の意見は一致して、新しい家族としてこのワンコを迎え入れることに。それが、雌のトイプードルの「もこ」。もうすぐ2歳になる。

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