どんなに冷たい風が吹いていても、街角のとあるスペースには一定数の人々がたたずんでいます。その場所とは、そう「スモーキングエリア」です。
分煙が進む中、愛煙家の人にとっては喫煙スペースを確保するのもひと苦労といったところですが、猛暑、雪、雨にかかわらず屋外のスモーキングエリアには、仕事帰りのビジネスマンなどの愛煙家が多く集っています。今日1月13日は「たばこの日」。時代によって移りゆく、愛煙家にとっては生活に欠かせないたばこを取り巻く社会の変遷を振り返ってみましょう。

「たばこの日」には、実は平和への願いも込められていた!?
「たばこの日」には、実は平和への願いも込められていた!?
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古くから、国の財源確保に重宝されたきたたばこ

タバコの歴史は古く、マヤ文明の遺跡からもたばこを吸っているような絵柄が見つけられたそうで、一説によると7世紀の古代マヤ文明のころから存在していたとも……。
さらに、広く知られているたばこが世界中に広まるきっかけは、大航海時代を代表する航海者でありイタリア人のコロンブスが、アメリカ大陸に上陸した際、現地の先住民の間で根付いていたたばこに着目したことに所以するといわれています。大陸にわたったコロンブスは、その地の人々が好んで吸っていたタバコを自国に持ち帰り、そこからヨーロッパにもたばこが広まったという説が今に伝わっています。
そして日本ですが、諸説あるものの、わが国にたばこが伝えられたのは16世紀頃といわれ、種子島に火縄銃(鉄砲、鐵炮)が伝えられた時期(天文12/1543年)に、たばこもポルトガルから日本にやってきたとされています。その後、明治時代に入って一気に近代化が進んだことにより、たばこの製造も活性化。鮮やかなパッケージや常習性ある嗜好品であることから、たばこ人気が広まっていくことになります。
そうした「たばこ人気」に目をつけたのが日本政府でした。そう、今と同じですね、たばこは税を徴収する手段として重宝されたのです。さらに日清戦争(明治27年/1894年〜)の頃には、たばこの製造販売の国営化に踏み切ります。財源確保の有効な手段であったたばこであった背景から、国を挙げて喫煙を盛り上げる時代の趨勢もあり、国内での喫煙家は非常に多くなっていきます。

たばこといっても、煙草、葉巻・シガー、パイプなど様々な種類があります
たばこといっても、煙草、葉巻・シガー、パイプなど様々な種類があります

戦後の「自由販売」の先駆けとなった「ピース」

昭和に入ると、戦争の波によってたばこを取り巻く環境も目まぐるしく変わっていきます。
明治、大正時代には鮮やかだったパッケージやポスターは次第に戦時色の濃いものとなり、さらに戦況が厳しくなってくるに従って、通常かけられていた税金に加えて「戦時負担金」もたばこに課されるように。そして、さらなる戦況悪化によって、たばこの製造がままならなくなり、配給措置が取られることに……。
そして、戦争が終わり、戦後の復興に向けて、たばこ市場も「専売制」から「自由販売」への道をたどることとなります。
その第1号が1946年1月13日に発売された銘柄「ピース」でした。この当時のたばこの価格は、1箱10本入りで20~60銭。そんな中、発売された「ピース」の価格は1箱10本入りで、なんと「7円」! このことからも高級たばこであることがわかりますが、高級嗜好品であるにもかかわらず、高い人気を誇り、一時は販売数が制限されることもあったようです。
ちなみに、缶入りピースが「ピー缶」の愛称で親しまれた「ピース」は、その名の通りつらい戦争を経た後の「平和」を願った名前でもあったことをご存じでしょうか。そして、この「ピース」の発売日(1946年1月13日)が、その後「たばこの日」として制定されることになったのです。

健康志向で活発化する禁煙の流れ

戦後、たばこ人気が復活した日本。
1964年の東京オリンピック開催当時は、日本人男性の喫煙率は80%を超えていたといいます。今の時代では信じられませんね。しかし、そんな日本でのたばこ人気とは裏腹に、海外では禁煙活動がスタート。特に禁煙活動に先進的だったのはイギリスであり、1930年代から肺がんによる死亡率の高さに注目が集まっていました。一足遅れて、たばこ先進国でもあったアメリカでも、やはり禁煙の流れが加速していきます。
そんな海外での潮流もあり、日本では平成に入って、ようやく喫煙による健康面への不安を呼びかけるようになりました。今ではすっかり当たり前になっている「吸いすぎ注意」を伝えるパッケージが登場したのは1990年のこと。国がたばこを推奨してきた歴史からも、海外からは遅れた形で喫煙への注意を呼びかけるようになったことがわかります。
── 近年では、タール量が軽減される「電子たばこ」が登場。昨年末には、「3年かけてたばこ1本あたり3円増税する案で調整に入った」という報道も新聞紙上を賑わせています。愛煙家にとってはなかなかやめられない嗜好品ですから、健康を気遣った形で、上手にたばことつきあっていけるとよいですね。

禁煙の流れが加速する中、電子たばこ愛用者が急増中
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