自民優位の政治資金構造を根本から変革すべき
「悪人」どもが最も嫌がり、逆に国民が最も喜ぶ政策は何か?
それは企業・団体献金の禁止だ。しかも、これを実施すると国民が喜ぶということ以外にもっと本質的なメリットがある。それは、古い自民が復活するのを阻止することができるということだ。
過去の政権交代のことを思い出してほしい。もう終わりだと言われた自民党は、必ず復活した。敵対する勢力が分裂したり、政策の失敗があったりで自滅したという見方もあるが、その背後に見逃してはならない重要な要素がある。
それは、「金の力」だ。企業・団体献金という「打ち出の小槌」を持つ自民党が、資金力にものを言わせて体制を立て直し、数年のうちに復活することが可能となった。
金さえあれば何とかなるということを自民党の議員は知っている。自民のDNAと言っても良い。今回の選挙を経てもなお、来たるべき衆院選に備えた選挙資金が集まっているはずだ。
折しも、野党側は、さまざまな形で企業への増税案を出している。自民も消費減税やガソリン税廃止などの財源として、企業増税の動きに出る構えだ。しかし、この自民の動きは、実は、このまま野党優位の政治状況を続けると、企業から金を搾り取れば良いというとんでもない政治になりますよという警告を発する効果も狙ってのことだ。最初は野党に思い切り厳しい案を主張させて、最後に自民が踏ん張って、程々のところに収めることで経団連などに恩を売るという作戦だ
自民が復活しないと企業は大変なことになりますよというのは、「最強のセールストーク」なのだ。
野党は、政権を取ろうと思えば、かなりの数の候補者を立てる必要があり、しかも、当選させるためには巨額の資金が必要だが、政権与党でないため、そう簡単に収入は増えない。
衆院選では、自民側は昨年大敗して大量の落選者が出ているので、彼らを即戦力として公認できるが、野党はその逆で、当選者をかなり増やしたため、新たな候補を立てるのがより難しく、しかもゼロからの選挙運動となれば、費用もかさむ。自民には企業から献金が集まり、野党にはこれがない。
企業・団体献金を制限するかどうかで中長期的な与野党の勢力図が大きく変わることは確実だ。
ここまで長々と書いてきたが、石破首相が何をすべきかは、もはや自明だということがご理解いただけたのではないか。
それは、企業・団体献金を禁止、または、可能な限り制限し、自民優位の政治資金構造を根本から変革することだ。
これにより、中長期的に見て、選挙は公正なものになるし、企業のための政治から国民のための政治になる。
短期的には、まず、企業・団体献金禁止に自民の「悪人」たちが強く抵抗する。石破氏がこれと闘えば、石破おろしの風が強まる。しかし、国民の石破支持はこれまでになく高まりを見せ、石破おろしは敗北するであろう。