一回裏、先制適時打を放つ日大三・本間(撮影/写真映像部・馬場岳人)
一回裏、先制適時打を放つ日大三・本間(撮影/写真映像部・馬場岳人)

 敗れたとはいえ、日大三の戦いぶりも見事だった。今大会初先発の谷津輝、山口凌我、そしてエースの近藤優樹とつないで接戦に持ち込んだが、好機にあと1本が出なかった。

 アルプススタンドも盛り上がった。三塁側の沖縄尚学アルプスで玉城デニー県知事が応援すれば、一塁側の日大三アルプスには小池百合子都知事が登場し、観衆が沸いた。

 さらに日本大学理事長の林真理子さんも球場を訪れていた。甲子園での高校野球観戦は昨年以来。試合終盤にはアルプススタンドへ移動し、生徒らと一緒になって立ち上がり、メガホンをたたいて応援した。

「(日大三の活躍は)ずっと見ていました。決勝進出が決まって、絶対に現地で応援したいと思って来ました。アルプスでの観戦は初めて。ものすごい暑さの中で選手も吹奏楽の生徒たちも一所懸命。すごいの一言です」

八回表、追加点を許しマウンドに集まる日大三の内野陣。近藤(背番号1)へ笑顔を向ける(撮影/写真映像部・馬場岳人)
八回表、追加点を許しマウンドに集まる日大三の内野陣。近藤(背番号1)へ笑顔を向ける(撮影/写真映像部・馬場岳人)

 最終回の攻撃前には「泣いても笑ってもあと一回。頑張ってほしい」と、日大三の攻撃を見守った。試合終了の瞬間には、林さんの目には涙が浮かびタオルで拭った。

「沖縄尚学の投手がすごかったですね。応援も迫力がありました。(日大三は)1試合1試合成長しているのが見えて、決勝の舞台に立った。準優勝でもすばらしい。本当に夢のようで、すばらしい活躍でした」

 試合終了直後は日大三ナインに涙もあったが、閉会式を終えると両校ナインは笑顔で健闘をたたえ合った。

 今大会は接戦、延長タイブレークなど手に汗握る熱戦が多く、2年生の活躍も目立った。沖縄尚学の新垣有絃、末吉も2年生。捕手として2人をリードした宜野座恵夢は力強く言った。「来夏もきっとやってくれると思う」。

 早くも来夏に向けての準備は始まっている。

(AERA編集部・秦正理)

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