
大阪・関西万博の開幕から4カ月。公式キャラクター、ミャクミャクはすっかり人気者になった。ミャクミャクの原点はどこにあるのか。キャラクターデザイン選考委員会で座長を務めたグラフィックデザイナー・原研哉さんを取材すると、意外な「残念」ポイントと新たなポテンシャルが見えてきた。
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ミャクミャクくじは3時間待ち
ミャクミャク人気が止まらない。万博会場限定でハズレなしで「ミャクミャクぬいぐるみ」が当たるくじは連日3時間待ちの行列ができる。6月にはレアな「黒ミャクミャク」の盗難事件も起こったほどだ。
日本を代表するグラフィックデザイナーで、キャラクターデザイン選考委員会で座長を務めた原研哉さんは、ミャクミャクに最も詳しい人のひとりだ。万博パビリオン「BLUE OCEAN DOME」の展示ディレクションも担当し、たびたび万博会場に足を運んできた。自らが選出に関わったミャクミャクの誕生から今までを見守ってきた。
万博公式キャラクターデザインは2021年に一般公募され、翌22年、後にミャクミャクとなるデザインが1898作品の中から選ばれた。
「ヤバい」「気持ち悪い」「理解不能」
ミャクミャクに対する世間の当初の反応は散々だった。
「気持ち悪い」「理解不能なデザイン」「選ばれたCが一番ヤバいやん!」という声がSNSで相次ぎ、「炎上」状態に。
なぜ、このデザインが選ばれたのだろうか。
「シンボルマークをかぶっている、という点では、シンボルマークの延長にあるキャラクターだと思います。『ヤバい』という言葉が、よくも悪くも、感受性の針を大きく揺さぶる現象に対して発せられるなら、今回のシンボルマークもキャラクターも『ヤバい』の絶対値が大きかったと思います」(原さん)
選考委員のひとり、タレントの中川翔子さんも「これまでの万博からすれば、このぶっ飛んだデザインが選ばれるのはかなり斬新だと思う」と、最優秀作品発表記者会見で語った。
その感受性の針は、時間が経つにつれ、「人気」へと大きく振れた。