ロングインタビューに応じた光宗薫さん。ひとつひとつ自分の言葉で話す姿が印象的だった(撮影/写真映像部・山本二葉)
ロングインタビューに応じた光宗薫さん。ひとつひとつ自分の言葉で話す姿が印象的だった(撮影/写真映像部・山本二葉)
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 画家・俳優として活動する光宗薫さん。モデルとしてキャリアをスタートし、AKB48に加入した際は「スーパー研究生」として注目された。現在にいたるまでの半生を聞いた(全2回の1回目)。

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人生のレールから外れたように

――芸能界入りのきっかけは、「憧れ」ではなかったのだという。

 昔から、集団行動が得意じゃなかったんです。気を使いすぎてしまうところがあって、中学校くらいから学校に毎日通うことができなくなり、高校も1週間で不登校になって、そのまま辞めてしまった。人生のレールから外れたように感じて、「この先どうしよう」となっていたとき、友達が「モデルオーディションに出るけど、一緒に出ない?」と誘ってくれて、「じゃあ行ってみようかな」って。

 自分の居場所みたいなものを探していた時期でした。学校に行けなかったことへの焦りもあったと思います。

何を頑張ればいいのか

――2011年、神戸コレクションのモデルオーディションでグランプリを獲得する。飛び込んだモデルの世界は、「簡単」ではなかった。

 当時、モデル界は現在よりスタイル重視の世界でした。私、身長が168cmなんです。でも、上海公演のランウェーに並ぶと、周囲はほとんど170cm以上で、等身も私とまるで違う。ウェイトやポージングは努力できても、骨格はどうにもならない。「これは何を頑張ればいいんだろう」って思ってしまって。

 お仕事に面白さはあったんですけど、もともとそこまで自分の見た目に興味があるわけではないし、「向いていないんじゃないか」と悩んでいたところ、AKBのオーディションの話を聞いて、「活動の幅も広いし自分の内面も出せるのでは」「向いているかもわからないけれど」と思って受けた、という流れでした。

キャリアのスタートはモデルだった(撮影/写真映像部・山本二葉)
キャリアのスタートはモデルだった(撮影/写真映像部・山本二葉)

――オーディションは合格、「スーパー研究生」として注目された。

 研究生としてAKB48に加入することになったときが、一番話題になった記憶があります。

何もない自分を隠さなきゃ

 前歴がモデルで、他のメンバーと比べると背が高くて今よりボーイッシュで、当時グループにはいないタイプのビジュアルでした。

 知名度だけが突然あがったようで、当時は戸惑いが大きかったですね。自分が何も持っていないということを一番わかっているのは自分だったから、「何もない自分をどうにかして隠さなきゃ!」「バレないようにしなきゃ!」と必死でした。

 今思えば、世間の話題も注目も一過性だからそこまで気にしなくてもよかったと思うんですが、当時の私にとっては大ごとだったんですね。

――真面目だったからこそ、周囲の期待をプレッシャーに感じてしまった。

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