
──では、自身の「ゴール」や「出口」はどのようなイメージで捉えているのだろう。
あまり「最終形」は考えてはないですけど、理想としては「この作品をもって引きます」という集大成のものを作って終わりたいな、というのはあります。でも、音楽活動やバラエティー番組、配信コンテンツやSNSを活用した発信など、さまざまに活動しているなかで、お芝居で集大成を見せたから全部終了っていうことにはならないのかな……もちろん、時代に求めてもらえれば、ですけどね。いずれにしてもその線引きは自分で決められるといいなぁと思います。
──常に目の前の仕事に真摯に向き合ってきた先に今がある。そのスタンスは変わらないが、独立してからはよりフットワークの軽さを意識するようになった。
今までは自分であれやこれや選択してきたというよりは、いただいたお仕事に対して、どうアプローチできるかに注力してきました。だけど、これからは自分で選択していく形になっていきますよね。その上で、僕は番手とかもあまり気にしないので、自分の面白さの琴線に触れる作品であれば、時間が許す限りいろんな現場に顔を出せるような足回りの軽さは持っておきたい。ある種の軽さみたいなものは、年を取ってくると失われてしまうので、そこは特に意識しています。僕とお仕事をしたいと思ってくださる方に「どうせ呼んでも来ないんだろうから」と思われないように、「呼んだら来てくれんじゃない?」と思われる軽さを持った人間でいたいと思っています。
(構成/ライター・大道絵里子)
※AERA 2025年8月25日号より抜粋
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