田中真紀子さん(撮影:写真映像部・上田泰世)
田中真紀子さん(撮影:写真映像部・上田泰世)

議員特権を見直し、議員定数も減らす

 私の父が総裁の座をめぐって福田赳夫元首相と“角福戦争”を繰り広げていた時代は、派閥によって掲げる政策が大きく違っていました。積極財政の田中派と、緊縮財政の福田派、中国との関係を重視する田中派と、台湾との関係を重視する福田派、といった具合です。けれど安倍政権以降、派閥は資金集めとポスト獲得のためのつながりへと成り下がりました。政策集団が消失したことで、自民党内のダイナミズムは大きく損なわれたと思います。

――近年、国民民主党や参政党といった新興政党が支持を広げる背景には、既存の政治に対する国民の不満と不信があると見られています。自民党だけでなく、政界全体で取り組むべき課題は何だと思いますか。

 国会議員が持つ“議員特権”が大きくなり、国民の金銭感覚とかけ離れつつあることが、政治不信の一因になっています。赤坂など都心の一等地にある議員宿舎に安い家賃で住むことができたり、公務用のJR無料パス(特殊乗車券)や航空券引換証を私的な旅行に使う行為も横行していたり。原資は国民の税金ですから、過剰な特権は見直すべきです。議員定数も減らしていいと思っています。

 政治改革のためには選挙改革も必要です。世襲であれば誰でも議員になれるような状況は、政治家の質を下げかねません。二世議員は親と同じ選挙区では出馬できないといった制限も必要でしょう。

 政治がもっと国民から関心を持たれるといいですよね。私としては、次の衆院選までに少しでも選挙の在り方が変わるよう、有識者を集めて勉強会を開いたり、メディアに働きかけたり、手を考えています。議員たちは、自分たちの得にならないような改革には後ろ向きでしょうが、どうにか変革をしなくてはと考えています。政界を引退した一主婦とはいえ、私はやる気満々ですよ。

(AERA編集部・大谷百合絵)

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