
「わからない」ことにビビるようになった
――先ほど能天気とおっしゃいましたが、ご自身の性格をそうとらえているんですか。
能天気だと思います。あ、でも混ざってるかもしれませんね。めちゃめちゃ能天気なところと、変なところが厳しいなと思うこともあります。
――どういうところに厳しさを感じますか。
この業界って、先が見えないじゃないですか。でも、若いときはあっけらかんと過ごせていたんですよ。それがいろんな経験をしたからなのか、この先どうなるかわからんなと思うことが増えました。その「わからない」ことに対して、ビビったりするようになってきたんです。芸能界に限らず、今は終身雇用なんてなかなかないですけどね。
――それは謹慎がきっかけですか。
謹慎もきっかけになったかもしれないけど、前からそうだったと思います。ただ、謹慎があったから、その後は慎重になることが増えたんです。これ以上人に迷惑かけられないな、って。

――若いころというと、亮さんは31歳で結婚されました。どんな心持ちで日々を過ごしていましたか。
子どもも生まれて、不安はゼロじゃなかったと思うけど、「頑張るぞー!」という感じでした。当時から芸能の仕事なんて、明日どうなるかわからんって本気で思ってましたよ。ただ、子どもを育てるのも初めてやし、それを奥さんと一緒にやることにワクワクしてましたね。
――プライベートでも軸があったんですね。
そうですね。だから、目の前に楽しいことがあればちゃんと気持ちも上がるし。今ってわかりづらいことが多いから、長い目で考えると不安になるのかもしれないですね。でも、僕は変わらず、目の前のことや近い未来のことやったら楽しめそうっていうか、そんな感じで生きてるかもしれません。
――家族ができたことで、先が見えない芸能界で生きることに不安を感じたりはしませんでしたか。
若いころからお世話になってる、極楽とんぼの加藤浩次さんといろんな話をするんですよ。加藤さんがよく言っていたのは、「どうなるかわかんない世界で、こんだけ飯を食えてるだけでもう勝ちだよな」ということ。「これ以上求めてどうすんの」という言い方もよくされていました。
そりゃ20年後もしっかり活躍していたいと思って頑張りますよ。でも、芸能界でずっと飯を食える絶対的な自信がある人は、ほぼいないと思います。だから、今こうして飯を食えてることにありがたいなと感じるし、その時点でオッケーやなと思う。
――若いころも含めて、幸せじゃない状態だったことはありますか。
飯食えないときも全然幸せでしたね。食えないストレスはありましたけどね。
――やりたいことが明確だったから。
芸人になる前、少しだけサラリーマンもやってたんですよ。だから、芸人になった時点でワクワクしかしてなかった。今は30代でテレビに出始めるというのも普通になりましたけど、僕らの時代は20代後半までには出ておかないと厳しいという感じでした。
そのなかで僕らはありがたいことに、20代前半くらいで出させてもらえるようになった。もちろん飯食えてない時期もあったし下積みがなかったとは思ってないけど、他の芸人よりは短いと思います。