
昨年、〈死ぬのがいいわ〉が米国レコード協会のゴールドディスク認定を受けるなど世界的に活躍する藤井風。パリ在住のジャーナリストがその人気に迫った。
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今年7月にはヨーロッパ、8月には北米でコンサートを行ってきた藤井風。ヨーロッパツアーはドイツ・ベルリンから始まり、ロンドンやパリなどヨーロッパの主要都市で行われた。
パリの会場は、1954年にミュージックホールとして創業以来、ザ・ビートルズ、レディー・ガガ、エディット・ピアフ、イヴ・モンタンら国内外の世界的アーティストたちがリサイタルやスペクタクルショーを繰り広げている老舗のオランピア劇場(約2千席)。コンサートが7月10日に開催された。
パリコンサートは3月に発表され、チケットは即、完売となった。
当日、オランピア劇場には、開演前に長い行列ができ、開演時には、立ち見の1階席に走るファンたちに、劇場のスタッフも驚き、「ゆっくり入ってください」と声をからしていた。
会場外と同様に、開演前にすでに劇場内のコンサートグッズの売り場にも長蛇の列。コンサートが始まる前の高揚した雰囲気に圧倒され、勢いのある藤井風の人気に驚くばかりだった。
来場者の年齢層は予想外に幅広く
ファンは10代を中心とした若者ばかりだと思っていたが、実際の来場者の年齢層は幅広く、予想は外れた。コンサートに来ているファンは藤井風のどんなところに魅力を感じているのか。生の声に触れたいと思った。

アートディレクターで41歳のタリックさんはこう話す。
「〈死ぬのがいいわ〉をYouTubeで観て藤井風を知ったが、今までに、こんなアーティストを見たことがなかった。そして、彼がYouTubeから発見されたシンガーだと知った」
ちなみに、タリックさんが今まで、日本のシンガーで好きだったのは山下達郎だという。

パリで調理の勉強をしているというエクアドル人のイザベラさん(21)は「今まで日本の音楽は藤井風だけ聴いてきたわ」と話す。
「2021年にYouTubeで〈青春病〉を観てから彼のファンになったの。〈青春病〉は子どもから大人になる時に、子ども時代の思いを後ろに残していく曲。彼のポジティブなメッセージも彼の声もフェイス(顔)も大好き」