ルックスだけではない骨太な反論
ルックスのことを強調して話したが、沢田研二はじめザ・タイガースの面々はただ操り人形だったわけではない。
たとえば、68年のアルバム「ヒューマン・ルネッサンス」は旧約聖書の世界観を描きながら反戦をコンセプトにしており、ベトナム戦争が激化する時代の若者たちの心境に訴えかけた。
また、人気番組「木島則夫ハプニングショー」(日本テレビ系)に出演し高校教師を称する論者から「長い髪が不潔」「ファンの女の子たちは大脳が発達してない」などと揶揄された際は、「若者を全然理解しないようなのは本当の大人じゃない」「(自分たちは)もっと綺麗な大人になりたい」と毅然と反論。このことで、かえって支持の幅を広げた。
稀有なルックスの沢田研二は、アイドルとして売り出されながらも、あくまで心はロックミュージシャン。封建主義的な重苦しい時代を切り拓く、新世代の旗振り役でもあったことは付け加えておきたい。(本文中敬称略)
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