
「分裂は東西対立が引き起こした」
昨年12月に吉村代表体制となってからも、それまで党主流派として実権を握ってきた馬場氏ら旧執行部は、新執行部への批判的な発言をしていた。維新の国会議員A氏は、こう話す。
「党は吉村・前原派と馬場派の2つに割れた格好だった。馬場派の議員は『前原氏とはやれない』と不満をあらわにして、参院選ではとても挙党体制とは言えない状況で臨み、案の定負けた」
維新の大阪府議B氏は、こんな党内事情を明かす。
「過去2回の分裂は、いずれも大阪組とそれ以外の東西対立が引き起こした。もともと維新は大阪が本拠地で、大阪の議員には大阪ファーストという意識が強い。とりわけ、大阪府議や大阪市議は、国会議員よりも『自分たちが上だ』といわんばかりの思い上がりがあるのは事実。前原氏は京都が地盤なので、その点もクリアできると吉村氏は考えて共同代表にした。前原氏も成果を残そうと、維新の看板政策である社会保障改革や教育無償化を与党に打診したが思ったほどの成果はなかった。参院選の敗北で、馬場氏ら大阪組が一気に『前原おろし』を進めた」
ただし、参院選後、「前原おろし」は起きたが、「吉村おろし」の声はほとんどなかった。
「党の顔になれるのは、実績、知名度からも吉村氏しかいない。吉村氏が代表をおりたら、代われる人材はまったくいない。維新は分裂、消滅しかねない。吉村氏が代表だから、選挙でもなんとか戦えると思っているからだ」(前出・A氏)
維新は7日の党役員会で、吉村氏の代表続投を決めている。
藤田氏が共同代表に選ばれたことについて維新内部には、こんな声があるとB氏は言う。
「馬場派との融和を考えれば、藤田氏が最適という声がある一方で、時計の針を逆戻しするようだと嫌悪感を示す議員もいる。ただ藤田氏も馬場氏の傀儡とされることを警戒しており、融和路線をとる方向と聞いている」