
15~34歳のフリーターのうち3人に1人以上が、もともと正社員希望だった——。こんな実態がマイナビの調査で明らかになった。理由には「正社員になりたくてもなれない」「正社員の仕事に対する自信がない」が上位を占めた。
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マイナビの「フリーターの意識・就労実態調査(2025年)」によると、若年のフリーターに、もともと希望していた働き方を聞いたところ、「フルタイム正社員」が35.7%と最も多かった。「アルバイト・パート」が26.0%、「働き方にこだわりはない」が21.9%だった。
「もともと正社員を希望していたが現在アルバイトで働いている理由」(複数回答)は「正社員の仕事に対する自信がない」が29.2%、「正社員になりたくてもなれない」が27.7%で、1位と2位だった。3位には「スキルや経験が不足している」(26.4%)が入っており、マイナビキャリアリサーチラボ研究員の宮本祥太氏は「本人のスキル不足の認識、自信の無さ、自己効力感の低さなども影響している」と分析している。
経済的ゆとり(収入や貯蓄・資産の余裕)の状況を聞いたところ、「あまりゆとりがない」が41.9%、「全くゆとりがない」が36.4%で、合わせて8割弱を占めた。今後のキャリアについて「不安」と答えたのは60.1%だった。
満足のいく収入が得られない場合は、リスキリング(学び直し)などで資格を取得し、給料のいい仕事を探すのも一つの選択肢だ。だがリスキリングに取り組んでいる若年フリーターは2割にとどまった。「必要性を感じているが取り組めていない」が35.5%、「必要性を感じておらず、取り組んでもいない」が43.6%だった。
リスキリングに取り組んでいない理由(複数回答)としては、「負担する費用が重い」が20.3%で最も多く、「新しいことを学ぶ気力が無い」19.5%、「どのようなことを学び直したら仕事に活かせるか分からないから」16.1%が続いた。
人材不足、労働力不足と言われる中、正社員になりたくてもなれない人が一定数いることについて、宮本氏は「雇用のミスマッチが起こっている可能性がある。企業の人手不足感は高まっているが、企業が求める人材要件と、正社員を希望する非正規人材の要件が、必ずしも一致していなかったり、合致していたとしても求職側と企業側のマッチングの機会が限られていたりすることによって、正社員になりたくてもなれないというミスマッチが起こっているのではないか」と分析している。
(ライター・米澤伸子)
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