写真はイメージです(写真:Getty Images)
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 日本人の海外流出がじわりと進んでいる。外務省の海外在留邦人数調査統計によると、2024年10月1日現在で海外の永住者は過去最多の58万384人になった。前年より5657人増。節税や教育など目的はさまざまだが、日本より充実した生き方を求めて、海外での暮らしをめざす人が増えているようだ。

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海外永住者の推移
海外永住者の推移

 統計は、3カ月以上海外に暮らす日本人に関するデータを外務省が毎年推計している。このうち原則として在留国で永住権を認められ、生活の拠点を日本から海外に移した「永住者」は22年連続で増加。25年前と比べると2倍以上の伸びとなっている。

 地域別では、北米(28万2841人)、西欧(9万9437人)、オセアニア(7万9123人)、南米(6万2777人)、アジア(4万7454人)となっている。

 男女比でみると女性が約62%と多い。

 海外移住が増えている理由について、海外ビザ申請などの移住支援をするロイヤルパートナーズ行政書士事務所(東京都)の代表で行政書士の佐藤大河さんはこう話す。

「SNSや通信環境の整備に加え、実際に移住した人たちの発信も増えており、海外移住情報をリアルタイムで入手しやすくなりました。また、ロシア・ウクライナやイラン・イスラエルで紛争が起きる中、日本も戦争に巻き込まれるかもしれないという不安感から、逃げ場としての移住を考えている人がいる印象です」

 特に移住への関心が高いのが富裕層だ。同事務所が、日本在住で、不動産を除く純金融資産を1億円以上保有している30~70代の男女にアンケートしたところ(673人回答)、約2割が「将来的に海外移住を検討している」と答えた。

 理由について尋ねたところ(複数回答)、「より自由なライフスタイルを送りたいから」が45.5%で1位。2位が「日本の将来に不安があるから」(44.1%)、3位が「気候が良い国で暮らしたいから」(42.8%)、4位が「税制が有利な国で生活したいから」(38.6%)、5位が「物価が安い国で暮らしたいから」(31.7%)だった。

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