モンゴルの宿舎に到着された天皇、皇后両陛下
モンゴルの宿舎に到着された天皇、皇后両陛下
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 天皇、皇后両陛下は6~13日の日程で、国際親善のためモンゴルを訪問。同国訪問は皇太子時代の2007年以来2回目で、歴代天皇の訪問は初めてだ。首都ウランバートルを中心に、歓迎式典やフレルスフ大統領夫妻との会見や晩さん会、国民的な祭り「ナーダム」開会式出席などが予定されている。今回のモンゴル訪問への期待と、11月に初の海外訪問を控える愛子さまへ“受け継ぐもの”を皇室番組の放送作家、つげのり子さんに聞いた。

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 6日午前、天皇陛下と皇后雅子さまは、羽田空港から専用機で約5時間かけてモンゴルのチンギス・ハーン国際空港に到着。8日には公式行事である歓迎式典やフレルスフ大統領夫妻との会見、晩さん会に臨む。旧ソ連に抑留されモンゴルで亡くなった日本人の慰霊碑も訪れ、供花し、11日には公式行事として、同国最大の祭典「ナーダム」の開会式に出席する予定だ。

 7日に訪問されたのはチンギス・ハーン国立博物館と、天皇陛下の研究テーマでもある水の関連施設。9日には日本の高等専門学校(高専)をモデルに設立された「モンゴルコーセン技術カレッジ」や、現地の公立学校、病院、10日は日本式教育を導入した「新モンゴル学園」を訪れる。

 過密スケジュールの今回のモンゴル公式訪問。その意義を皇室番組の放送作家のつげのり子さんは「戦後80年、節目の年の慰霊の旅」と位置付け、こう話す。

「御苦労に思いを致したい」

「今年は戦後80年の節目の年で、天皇、皇后両陛下は、硫黄島、沖縄、広島、そして、9月には長崎を訪問されます。戦後60年の節目に上皇、上皇皇后両陛下はサイパン島、戦後70年の2015年にはパラオ、翌年にフィリピンを訪問されています。これまでは、海外にある南方の激戦地を訪れ、慰霊されてきました。戦後80年の今回は、北方に目を向け、北の大地で終戦後も祖国の地を踏めずに亡くなられた人々を慰霊されようと考えたのではないかと思います」

 2日にモンゴル訪問に際して行われた記者会見で、天皇陛下は質問にこう答えられた。

「シベリア抑留者として、モンゴルに移送された約1万4000人のうち約2000人が不幸にして亡くなられたと聞きます。その一方で、抑留された方々が、現在も使われているモンゴルの政府庁舎や国立オペラ・バレエ劇場などの建設に従事し、厳しい環境にありながらも自分たちの仕事に力を尽くしたことは、モンゴル国民からの尊敬を集めたと聞いています。(中略)今回の訪問では、そのような歴史に思いを巡らせつつ、日本人死亡者慰霊碑に供花をし、心ならずも故郷から遠く離れた地で亡くなられた方々を慰霊し、その御苦労に思いを致したいと思います」

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