写真はイメージです(写真:Getty Images)
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 今年も現実味を帯びてきた酷暑の夏。物価高が重なれば、どれだけ家計の負担増になるのか――。第一経済研究所は、気象や電力需給などの各種データを元にAIで分析し、その影響額を予測した。導き出された三つのシナリオのうち、最も警戒される記録的な酷暑となるケースでは、4人家族で月平均最大2万5千円の負担増が見込まれるという結果になった。

【図】各シナリオにおける家計への影響度はどれくらい?

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 「AIが警告する2025年酷暑インフレ~熱波×物価高を3シナリオで先読みし、家計を守る処方箋を示す」と題したリポートを同研究所ライフデザイン研究部の柏村祐(かしわむら・たすく)・主席研究員が2日に発表した。

 過去の気象データ、農林水産省による農作物の生育・価格見通し、経済産業省の電力需給見通し、国際的な資源価格の動向などが学習したAIを用いた。AIが警告する、4人家族モデルの月平均の家計の影響は――。

 発生確率55%となった「標準シナリオ」は、じわりと負担増が続く。猛暑による野菜の生育不良でトマトなどの価格が上昇。冷房使用の増加などで、食費は3千~5千円、電気・ガス代は2千~4千円上昇し、合計で5千~9千円の負担増になった。

 発生確率30%の価格高騰シナリオは、最も警戒すべき「生活を揺るがす危機的状況」だ。記録的な猛暑や干ばつ、水害などが全国的に発生。野菜の供給量が大幅に減少し、例年の2倍以上になる野菜がでてくる可能性もある。コメの収穫量が落ち込み、電力需給は極めて厳しい状況に陥る――。その結果、食費で8千~1万5千円、電気・ガス代は5千~1万円上がり、合計の影響額は1万3千~2万5千円にのぼる。

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