
1875年(明治8年)に日本初の官立女子教育機関「東京女子師範学校」として設立されたお茶の水女子大学。昨年度、74年ぶりの新学部「共創工学部」を新設した。歴史ある国立女子大として、独自のミッションを掲げて女性リーダー育成に取り組んでいる。
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ーー歴史ある国立女子大として、今一番求められているミッションは何でしょう。
佐々木泰子(以下、佐々木) 法人化に際し、「学ぶ意欲のあるすべての女性にとって、真摯な夢の実現の場として存在する」という新たなミッションを掲げました。日本では女性の社会進出が求められているものの、ジェンダーギャップ指数の順位は依然として低く、女性が十分に活躍できているとは言えません。そのため、女子大学には社会で活躍する女性リーダーを育成する使命があると考えています。
理系に文系の学びを、文系に理系の素養を
ーー理工系女性リーダーの育成に取り組まれています。その意義と成果を教えてください。
佐々木 本学は日本初の女性理学博士や国際的に活躍した女性物理学者をはじめとして、多くの研究・教育職の卒業生を輩出してきましたが、さらなる裾野の拡大が重要だと捉えています。昨年、共創工学部を新設しましたが、分野融合の重要性を強く感じています。リベラルアーツ教育が求められる中、理系には文系の学びを、文系には理系の素養を身につけられる環境が必要です。そのため、幅広い選択肢を提供できる場を整えたいと考えています。
ーーご自身の学生時代と今の学生との違いはありますか?
佐々木 私は山口県出身で、大学卒業後にずっと東京で働き続ける自分を想像していませんでした。現在の学生は視野が広く、社会課題に積極的に取り組んでいます。例えば、食品ロス削減の取組やプラントベースメニューの考案など、学生が自主的に活動し、積極的に行動している姿に感心しています。今の学生の熱意は本当に素晴らしいと思います。