近年、細かく砕けた「マイクロプラスチック」の海洋汚染が問題になっていますが、空気中に漂うマイクロプラスチックが新たな問題となっているのを知っていますか? 森林の葉は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収してくれますが、実は空気中のマイクロプラスチックを捉えて、空気を浄化してくれるという“新事実”が明らかになりました。小中学生向けのニュース月刊誌『ジュニアエラ2024年7月号』(朝日新聞出版)からお届けします。

MENU 空気中に漂っている「マイクロプラスチック」とは? 葉からマイクロプラスチックを取り出す方法を開発! 日本のコナラ林全体なら約420兆個も捕獲と推計

空気中に漂っている「マイクロプラスチック」とは?

 捨てられたペットボトル、レジ袋などのプラスチック製品は細かく砕けながら川から海に流れ出ていく。その結果、世界中の海にプラスチックの破片が漂い、海の生物を苦しめる。「マイクロプラスチックの海洋汚染」などと呼ばれる問題だ。

 そんなマイクロプラスチックが空気中にも漂っていることが、最近の調査や研究で明らかになってきた。「大気中マイクロプラスチック(AMPs=Airborne microplastics)」と呼ばれるこの物質の特徴は、ひじょうに小さいこと。マイクロプラスチックは直径5㎜以下のものと定義されるが、AMPsは直径0・1㎜以下。このサイズまで小さいからこそ、空気中を浮遊するのだと考えられる。小さいから気づかれにくいが、すでに世界中で広がっていて、呼吸を通して人体に入り、健康に影響を及ぼすのではないかとも心配され始めている

 2022年、日本女子大学理学部の宮崎あかね教授と大学院生(当時)の須永奈都さんらは、そんなAMPsと森林の木の葉の関係を確かめる研究に着手した。木の葉には、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収するほか、空気の汚れのもとになるさまざまな物質がくっつくことが知られている。「それならば、AMPsも木の葉についているのでは?」と考えたのだ。

 調査対象に選んだのは、神奈川県川崎市にある日本女子大学西生田キャンパス内のコナラの森だ。コナラは北海道南部から九州にかけて広く分布する落葉広葉樹で、細長いどんぐりを実らせる。そんな身近なコナラがAMPsを捕まえると確かめられたら大きな意味があると考えたのだ。

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上浪春海
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