ブラックロック・ジャパン ファンダメンタル株式運用部 中小型株運用チームディレクターの高山博樹さん(撮影・山本二葉/朝日新聞出版写真映像部)
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 高配当株で「(株価が)安かろう、(業績が)悪かろう」に陥らないために業績をチェック。「連続増益」をキーワードに中小型株運用のプロがスクリーニングした30銘柄を紹介する。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025夏号」から抜粋しています】

【ランキング表】配当を出す現金たっぷり持ってる高配当株30銘柄はこちら!

 連続増益が続き、しかも社内に豊富なキャッシュを貯め込んでいる企業なら、二重の意味で配当原資はたっぷり。

 その観点からブラックロック・ジャパンファンダメンタル株式運用部中小型株運用チームディレクターの高山博樹さんが、プロにしかできないスクリーニングを行った結果をベスト30銘柄の表にまとめた。

 ブラックロックは運用資産規模で世界一の運用会社。高山さんは20年以上も日本株の中小型株運用をしてきたスペシャリストである。

「過去3期+今・来期の5期連続で増益予想の企業を選び、バランスシート上の『ネット現金』が前期実績配当総額の何年分あるかを調査。年数が長い順に並べました」

「ネット現金」とは貸借対照表の「資産の部」にある現預金や有価証券などの資産から「負債の部」にある短期・長期の有利子負債を引いたもの。その会社が抱える正味のキャッシュだ。

「連続増益銘柄は今後も利益成長が続く可能性が高い。配当性向が変わらなければ増配にも期待できます。

さらにバランスシート上に豊富なキャッシュがあるので、配当原資にも困らないことが予想されます。

子どもがお父さんからお小遣いをもらうとき、お父さんの給料は毎年増えていて、お父さんの貯金は子どもにあげるお小遣いの20年分、30年分も貯まっている。そんなイメージの銘柄です」

配当36年分の現金持ち

 今回の高山さんのスクリーニング結果には時価総額50億円未満の銘柄もちらほら。

 掲載30銘柄の市場は東証プライム10銘柄、スタンダード18銘柄、グロース2銘柄。小型株も多く、興味深い。

 1位のウェルネット(予想配当利回り3.70%)はコンビニなどの決済・集金大手。

 決済サービスというニッチな事業で増収増益を続け、社内に蓄えたネット現金は前期実績配当総額の36年分もある。

 今後1円も利益を稼げなかったとしても、とりあえず36年は社内の現金で配当を賄えるほどのキャッシュリッチ企業である。

【本記事後半で取材】楽天証券 国内株式事業部 アシスタントマネージャーの竹内広大〈こうだい〉さん(撮影・和仁貢介/朝日新聞出版写真映像部)
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