
「野良猫」みたいに思っていた
――さっき私たちが歩いていたら、「でっくん(東出さん)のとこにきたの?」と近くに住む方が話しかけてくれました。人間関係が構築されていると思えるようになったのはいつ頃ですか。
「自分は孤独だ」「孤独に生きるんだ」って思っていた時期もあったんです。そっちのほうが清々しいし、楽だから。
でも、どうにも野菜を持ってきてくれる人とか、魚を持ってきてくれる人とかがいて。お茶を出して、他愛もない話をしているうちに、ここに暮らしている人たちの優しさに触れました。そうしているうちに、私自身も誰かが風邪を引いたときには、薬を届けたりするようになりました。

あと、ここは余暇が多いですね。仕事のノルマもありません。そのなかで相互扶助というか、助け合うことが多いんです。それにちょっとずつ気づいていったんだと思います。最初は懐疑的というか、「なんでみんなこんなによくしてくれるんだろう?」ってどこか野良猫みたいに思っている部分もありましたよ(笑)。