元朝日新聞記者 稲垣えみ子
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 元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】帰国後、ナオミちゃんから手紙が。一緒にボール遊びをした絵も!

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 貧困地域への支援者が、支援先を訪問する。自分たちの支援がどのように生かされているのか現場を見る。それはもちろん意義あることだ。

 でも現実に訪問者となってみると、どうにもモゾモゾするものがあった。偉そうというか、上から目線というか、支援する人とされる人の関係はどうしたって非対称。お金を出しているだけなら余計な感情は発生しないが、実際会うとなったらどんな顔をしてどんな振る舞いをするのが「正しい」のかさっぱりわからん……。

 と、このようなことは初体験なだけにあれこれ悩んでいたのでございます。でも実際行ったら、そのような心配は杞憂だった。っていうかそんな余裕なかったんである。

 ルワンダツアーに参加した年齢職業性格様々な面々はみな、子供との対面にあたり必死。言葉が通じないし文化も違うし子供のキャラも不明なので、移動のバスの中で不安を共有し、折り紙を使った遊びを事前練習し、ボールやシャボン玉セットやポラロイドカメラなど皆で遊べそうなものの情報を交換し、困ったときは頼り合おうと励まし合った。そしてこのように頑張りまくってもお子達の反応は様々で、我らはいちいち一喜一憂。終わったときはほぼ「真っ白な灰」である。改めて後から考えると何だか笑えてくるようなことであった。

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