
AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:昨年、フリーランスになりました。仕事は楽しいのですが、自分で自分について価値を考え、価格を決めて請求書を作成して……とやっていると、ふと自分の価値について不安になるときがあります。自分では仕事に自信を持っているのですが、こんなふうに考えてしまうことに悩んでいます。どうすれば振り切れるでしょうか?(女性/フリーランスPR/44歳/おとめ座)
A:とても堅実な方という印象を受けました。お客さんが求める情報や、それを成し遂げるための手段などを、自分の経験からアドバイスして、一緒にいいものを作り上げていくような仕事をしているのだと思います。経験だけでなく、常に自分でも勉強してそれを伝えていくことで、お客さんから信用されている気がしました。
それをお伝えした上で、この相談の本題なんですが、僕は特に仕事においては、人は自信を持たなくてもいいんじゃないか、と最近改めて強く感じるんですよね。なぜなら、自信を持てないからこそ人は努力を続けられるからです。
そしてもう一つお伝えしたいことがあります。これは僕個人の考えですが、どんな仕事でも「お客さんの心」なんて見えない、ということ。目の前にいてもわからないし、エゴサしてもわからない。評価のメールをいただいてもわからない。
でも一つ言えるのは、お叱りには真実が含まれているということ。悪口はたまに真実が含まれていることもあるけど、鬱憤晴らしのこともあるし、自分と主義主張が合わないだけのことも多いです。ただ、お叱りには、まあまあ真実が含まれている。だからお叱りのメールや電話をいただいた時はちゃんと受け取ったほうがいいです。
話がそれましたが、「評価」も真実ではないことがあるので、最低限の自信を持って仕事を続けていくためにどうすればいいかというと、僕は自分の中でお客さんの「イメージ」を作るしかないと思っています。実際のお客さんじゃなくて、粘土細工でお客さんの人形を作って、その人形と対話するみたいな感じですね。この人は今何を求めているのか、何をしてあげたら喜ぶかを想像するんです。
実際のお客さんに聞いてしまうと、個人の主義主張とか好みが強く出て、一人にしか通用しないものになってしまう怖さがあります。反対に、多くを対象としすぎてブレてしまうこともある。
僕は、自分が例えば料理を出して、お客さんがおいしいと言っても信用していないんです。僕だってそう聞かれたらおいしいって答えると思うし。そこを基準にしてしまうと、自分の仕事の必要性を強く持つことができない気がします。
おとめ座は観察力があるので、お客さんの顔色や一言に振り回されて、それを引きずることが多いかも。相手の評価に意識を置きすぎないためにも、自分なりのお客さん像を作ってみてください。
※AERA 2025年4月28日号