ただ、ここからは米国の「セル・イン・メイ(5月に売れ)」という相場の格言を例年どおり耳にすることが増えてくるだろう。米国ではヘッジファンドの決算やサマーバケーション(夏季休暇)を控えて買いのエネルギーが後退しやすい時期に入る。米国株式相場は調整入りとなるケースが多い。今年の場合、「トランプ政権の関税政策の影響が各種経済指標に反映され始める」(証券アナリスト)タイミングでもあり、NYダウやナスダック総合指数など米国市場の動向に左右されやすい東京市場も注意が必要だ。
一方、国内では今年の波乱相場を言い当てた相場格言も兜町で注目されている。年末年始に出回った大手証券の投資関連資料では、25年相場に警鐘を鳴らす相場格言が的を射ていた。干支ごとに語り継がれてきた相場格言が紹介され、「卯(23年)跳ねる」「辰(24年)巳(25年)天井」と、日経平均は23年の長期もちあい上放れを経て、24年7月の取引時間中としての史上最高値4万2426円を示現した。今年1月までの4万円台を上限とする高値圏でのもみあいから下落に転じた経緯が、辰年と巳年に高値をつける「辰巳天井」というジンクスに、ここまでの時点では当たっているのだ。
ちなみに、この後の干支の相場格言では「午尻下がり」「未辛抱」「申酉騒ぐ」「戌笑い」「亥固まる」と続く。格言通りなら、厳しい相場展開はまだ続くことになるが……。
自戒の意味合い
証券会社OBが言う。
「1987年10月のブラックマンデー、2000年4月のITバブル崩壊、05年9月のリーマン・ショック、15年8月からのチャイナ・ショック、直近では20年2~3月のコロナショックといった相場急落時に、相場格言は話題となってきました」
バブル崩壊や東日本大震災、昨年の日銀追加利上げショックなどといった国内要因は別として、海外発の暴落ショックは底打ちまで一般的に3カ月程度を要している。「こうした相場波乱時の投資家へのアドバイスや自戒の意味合いから相場格言は話題となりやすい」(同)