カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事。「相互関税」への報復関税から、同州製品を除くよう要請している
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 1月20日にドナルド・トランプ氏が2度目の大統領に就任してから、まもなく3カ月。言動への波紋は米国のみならず、世界に広がっている。AERA 2025年4月21日号より。

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 トランプ氏が発動した「相互関税」は、「応援団」であるはずの共和党議員や保守系メディアに変化をもたらしつつある。

 保守派で知られるニューヨーク・ポストは、トランプ氏が経営するゴルフ場の広告を載せるほどの「密着」ぶりで、トランプ擁護の言説を繰り広げてきた。しかし、4月2日に相互関税の発動を発表した後、世界各国で株式市場が大暴落。直後の6日、トランプ氏寄りのコラムニスト、マイケル・グッドウィン氏はコラムで戸惑っていた。

「トランプ氏が公約に忠実だったため、経済は上向きで、彼個人の支持率も過去最高だった。しかし、それも終わった」

「相互関税」ではさらに

 さらに、「2026年中間選挙まで19カ月しかない」と締め、中間選挙で民主党が復活することに対する警戒感を示した。

 マーケット関係者もトランプ氏に背を向け始めた。

 カリスマ投資家で経済ニュース専門局CNBCの司会者、ジム・クレーマー氏は「(トランプ政権に対して)議会も、上院も、司法省も、メディアも機能していない!」といった過激な発言を繰り返し、同じく司会を務めるデビッド・フェイバー氏も「学会も、法律家も機能していない。これは、私たちが知っているアメリカ合衆国じゃない」などと述べた。CNBCの司会者らの主張はトランプ氏に対する「抑制と均衡」がないためにマーケットがダメージを受けているというものだ。

 クレーマー氏は「トランプには、安定は求められないが、株式市場がダメージを受ければ考えを変えるだろう」とも述べており、トランプ氏の言動からマーケットのパニックを抑えるのに必死だ。

 しかも、ほぼ全ての国・地域に対して発動した「相互関税」については4月9日、税率の一部の適用を90日間にわたり停止すると表明するといった、トランプ氏の一連の言動が、さらなる混乱を招いている。(ジャーナリスト・津山恵子=ニューヨーク)

AERA 2025年4月21日号より抜粋

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