占い師、作家 しいたけ.
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 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:やりたい仕事に就くために春から東京を離れるのですが、今まで通り映画やライブを観に行けなくなるのが寂しいです。住む場所に関係なく、学生から社会人になるタイミングで趣味への時間の割き方が変わるのは当然のことかもしれませんが、どうやって気持ちの折り合いをつけたらよいでしょうか?また、地域や年代が異なる人の中で、自分らしさを保ちながら上手くやっていくコツは何かありますか?(女性/学生/24歳/いて座)

A:文面から、すごく強く伝わってくるパワーみたいなものを感じました。この方自身とてもまじめで、自分でやると決めたことは、ルーティンとして組み立ててやり抜くパワーを持っている人なんだと思います。自分なりにやるべきことを決めて積み上げていく人というか。

 そして、さて困ったぞと思いました。通常の回答なら、しばらくライブや映画は難しいかもしれないですね、やりたい仕事に就くのだからそっちを優先しましょう、みたいなアドバイスをしたと思うんです。でもこの人の場合、切り捨てちゃいけない気がしました。この人にとって、おそらく映画やライブはすごく大事な、生命維持のためにも必要なもの。なぜかというと、この方は常に「視点の変更」を求めているからです。

 これはいて座あるあるでもあるんですが、いて座は毎日同じ風景を見ることに飽きちゃう人が多いです。展開が読めないものとか、通常の世界にいる時には起こり得ない展開、いきなり音が変わったりリズムが変わったり、そういうものに身を委ねる快感を感じ取る星座がいて座です。それを切り捨ててしまうと、大げさでなく、なぜ生きているのかわからなくなってしまう感じを覚えるかもしれません。

 この方の大切なルーティンの一つとして、映画やライブというものが大切に組み込まれているのだと思います。バランスがいい人って、本当の自分とやらなければいけない自分をちゃんと分けられている人です。この方の場合も、二つ以上の世界線に所属することで、自分のパワーを発揮できている。

 だから、多少無理してでも、例えば仕事が終わって夜の飛行機に駆け込むとか夜行バスに乗るとかするぐらいのイメージで、ライブや映画には行ってください。それをすることで、地域や年代の異なる人たちの中で、自分らしさを保ちながらうまくやっていけるはずです。

 もう一つこれはみなさんにお伝えしたいんですが、人の生活リズムって3年単位ぐらいで変わります。最近無風状態だなーと思っていても、3年経つとたいてい変化の風が吹くみたいな。

 春からの新しい場所で、我慢しなければいけないことがあったり、ここでやっていけるのかなと思っても、3年のらりくらりとすると、ちゃんと待っていた風が吹いたりする。そういう視点もぜひ持っていただきながら、3年単位の「異文化体験」をしてると思うと、結構楽になれる面もあるかもしれません。

AERA 2025年4月14日号

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