元朝日新聞記者 稲垣えみ子
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 元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】ルワンダはまるで北海道の夏のような爽やかさ

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 前回のコラムでもチラリと書いたが、弾丸で人生初アフリカ(ルワンダ)に行って参りました。旅の目的やその結果についてはいずれ書くとして、今回はまず、個人的に一番心配していたことについて。それは……アフリカでは我がアフロはどう受け止められるのか? ということである。

 ま、一般的にはどうでもいい話であることは百も承知。でも私的にはまあまあ深刻な問題で。というのは、実は我がアフロは海外を旅する時の最大の武器でして。何たって言葉は通じずとも、アフロであるというただそれだけで、少なからぬ人に興味を持ってもらえる、笑ってもらえる、覚えてもらえる。すなわち初対面の人に歓迎される確率が飛躍的に高まる。これほど最強の非言語コミュニケーションアイテムを私は知らない。

まるで北海道の夏のような過ごしやすい爽やかさ。東京の夏の方がずーっと暑い!(写真:本人提供)

 だがこれはあくまでも「アフロが珍しい地域」で通用することなんじゃないかというのが我が懸念であった。言うまでもなくアフリカはアフロの本場であり、そのような地で東洋人の「偽アフロ」はどう受け止められるのか? キモいとか不気味とか思われるようなら、最強どころか最悪のコミュニケーションアイテムだ。

 で、実際どうだったのかというと、これが超好評だったんですよ。既に行きの飛行機の中で、乗客の女性が「ナイス」とにっこり。乗り継ぎ地点のアジスアベバ空港の売店の女性も「ビューティフル!」。リップサービスもあるだろうが、悪感情は持たれていないことに盛大にホッとした。相当なアフリカ好きと思われたのかもしれませんね。

 そして意外だったのは、最も注目されたのは「飾りピン」だったこと。

 それ何? いいね! と何度言われたことか。空港の保安検査の女性など荷物そっちのけで熱心にピンを観察していた。確かにアフロにピンを留めるアイデアは私のオリジナルで、当然現地の人は誰もそんなことしてなかったのである。ってことは、これを機にアフリカで「アフロにピン」が流行したりして? と楽しい妄想に浸るアフロであった。

AERA 2025年4月7日号

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