
必ず社会の役に立つ
手間や環境負荷がかからず、健康効果が期待されるイシクラゲ。
玉井准教授はこう話す。
「でも、生育条件ははっきりわかっていません。私たちは安定的で衛生的な栽培方法の確立を目指しています。人間社会に役立つ動植物は、知られていないだけで数多くあるはずです」
こうした持続可能な農業、食料の研究が、最近の学生にヒットしているという。
同大農学部を今春卒業する岸本司さんは、もともと食料自給率の低さなどの社会課題に関心があり、農学部を選んだ一人だ。卒業研究では精米の過程で発生する大量の「もみ殻」の処理の問題を知り、有効活用をテーマに選んだ。もみ殻を炭化させたバイオ炭を活用して、化学肥料の使用量を減らせないかを研究した。
岸本さんは「想定した数値が出なくて心が折れそうになったこともあります。でも、この研究を続けたら、必ず社会の役に立つと思えたことがやりがいになりました」と話す。(編集部・井上有紀子)
※AERA 2025年3月31日号より抜粋